部門横断型の新規事業デザイン
鉄道会社のビジョンを地域とともにつくる
さまざまな領域のグループ企業を有するクライアントの鉄道会社は、その多様な事業リソースを活用した事業機会を模索していました。新規事業においてだけでなく、同社の多岐にわたるサービスがひとつのエコシステムとしてユーザーの生活により添い、価値を提供していくために、本プロジェクトは「サービスビジョンの構想」と「サービスビジョンにもとづく具体的なサービス企画」を目的として、2フェーズにわたり実施されました。
ACTANTは、調査や分析、サービスアイデア形成にいたる一連のプロセスを設計し、プロジェクトの推進を包括的にサポート。効率的にサービスデザイン手法を導入するため、同社の若手担当者とチームを編成し、協働で取り組みを進めました。
- Category
- LifestyleLiving labMobilityWorkstyle
- Site/Year
- 2016
- Services
- サービスビジョンフレームワーク / 定性調査 / サービスプロトタイピング / ビジネスモデル設計 / 空間設計 / イラストレーション
Approach
未来に向けたビジョンから、新たなサービスを組み立てる
フェーズ1では、社会・都市のこれからの変化と生活者のニーズを捉えるためのリサーチやワークショップを実施。そこから導かれたインサイトを整理し、鉄道会社としての新たな役割と中核的ミッションを定めたサービスビジョンフレームワークを策定しました。このビジョンにもとづき、続くフェーズ2では、新たに展開する事業のモデルとなる具体的なサービスアイデアを検討。ストーリーボードを使って具体的な体験を描きながら、サービスの現実性を高めていきました。
Result
伝わるアウトプットで、部門横断型の事業開発を促進
サービスビジョンフレームワークは、リサーチからのインサイトや保有資源をマッピングした一枚のダイアグラムとして視覚化。グループ企業やステークホルダー、社内関係者間で共有するためのツールとしてまとめあげました。ビジョンを具現化するサービスアイデアは、長期的な事業性をシミュレーションしたビジネスケースから、特定駅を想定した空間設計までを含めて最終形をデザイン。多様なリソースをもつ同社の強みを活かし、地域の魅力づくりにつながるサービスのプロトタイプをつくりだしました。
Details
Phase 1 サービスビジョンの構想
ビジョンの基盤となる文脈を抽出するため、社会変化のトレンド分析と未来洞察手法を用いたワークショップを実施し、リサーチのためのテーマを設定。デザイン・エスノグラフィーによるインタビュー調査と有識者へのインタビュー調査を通じて、生活者のニーズと価値変化の着眼点を探りました。これらのインサイトを整理し、サービスビジョンフレームワークを構築。本フェーズの最終段階として、強制連想法によって新たな事業機会を発想するワークショップをおこない、様々なサービスの可能性を検討しました。
Phase 2 サービスアイデアの創出
策定したビジョンにもとづき、100を超えるサービス案を発想。その後、生活者価値や事業者価値を踏まえながら、出発点となる3つのコンセプトにアイデアを集約しました。続いて、企業担当者に主導してもらい、沿線地域の生活者の行動観察やインタビュー調査を実施。事業モデルの検討と改善も並行しておこないました。サービス案のプロトタイピングでは、建築家と協働しCGや図面を制作。また、実現時のイメージとして架空の新聞記事も作成し、プロジェクトメンバーだけでなく、社内ステークホルダーとのコミュニケーション促進に活用しました。
Point
- 時代に適応した戦略的なリソースの活用を支えるビジョン形成
- 事業計画や新聞プロトタイプなどサービス構想にリアリティを与えるアウトプット
- リサーチを通じて築かれた、企業担当者と沿線地域の新たな人的ネットワーク