観光をデザインして街の持続可能性を高める
新たなモビリティサービスの共創
テクノロジーによるモビリティサービス変革が期待されるなか、京都市では、オーバーツーリズムによる観光地や交通機関の混雑、過疎化の進む地域における路線維持などが目下の課題となっていました。「KYOTO Smart Mobility Challenge」は、オープンイノベーションとサービスデザインの手法を活用し、交通事業者や利用者が抱える課題の解決、そして次世代につながるモビリティサービスをユーザー視点で検討しようと実施された共創プロジェクトです。
ACTANTは、この事務局の一員として参画し、中核となるフォローアッププログラムの設計・実施を担当。全2日間の日程では、公共交通事業者や京都市内外のさまざまなプレイヤーが参加し、アイデアの種を生み出すフェーズからサービス実装に向けた戦略の策定まで集中的に取り組みました。
- Category
- CommunityLiving labMobility
- Site/Year
- Kyoto, Kyoto / 2019-2020
- Services
- リビングラボ / MaaSデザイン / ビジネネスデザイン / エクスペリエンスジャーニーマップ / 組織研修ファシリテーション
京都市における新たな公共モビリティサービス共創プロジェクト運営協議会
Approach
市民の思い、観光客のニーズ、参加者の創造性、実現可能性
──多様な視座を行き来する
既存の枠組みを超えたモビリティサービスを創出するために、まずレクチャーを通じてサービスデザインの視点を導入。その後、現状の課題から導かれた4つのテーマにもとづき、ジャーニーマップやインタビューリサーチ、ストーリーボード、ステークホルダーマップなどのグループワークを行い、チームごとにアイデアを練りあげました。最終プロセスでは、ビジネスモデルに留まらず、実装に至るための実証実験プランの立案にも踏み込み、各アイデアの発展を支援。
市民の思いをくみ取った創造的なプロセスだけでなく、観光客目線から検討するプロセス、社会導入の実現性を高めるプロセスを行き来することで、最終的なサービスアイデアがより精度の高いものになるよう、ブラッシュアップしていきました。
Method
社会実装のステップに進む
ビジネスデザインキャンバス
アイデア発想に留まることなく、社会実装へとステップを進めるために、ビジネスストラテジストとのコラボレーションを通じて、独自のビジネスデザインキャンバスを開発しました。このメソッドでは、サービスアイデアが想定している利用シーンや提供方法を「機能」と「範囲」で細分化し、実行可能なミニマムの内容・体制に絞り込みます。ビジネスモデルだけでなく、戦略やロードマップまで検討することで、次年度に行う実証実験の第一歩を具体的に策定することが可能となりました。
Result
プロジェクトを持続可能なものにする
サービスアイデア集
多彩な参加者の多様な知を結集させ、新たなモビリティサービスの創出に取り組んだ本プロジェクト。その意義や成果を関係者と共有し、次の施策へつなげるためのツールとして、事業のプロセスや活動内容を取りまとめたリーフレットを制作しました。
創出されたサービスアイデアの具体例は、ストーリーボードに沿ったイラストで利用シーンをわかりやすく視覚化。サービスの提供価値やステークホルダーマップなど、各チームが取り組んだワークの集大成となっています。社会実装に向けたステップを明確にすることで、組織内理解を促し、スムーズに次年度のアクションにシフトすることを可能にします。
Point
- 観光における多様なアクティビティと、モビリティのスマート化を組み合わせて検討する、MaaS社会を見据えたデザインメソッドを活用
- さまざまな分野のステークホルダーが同じイメージを持ちながらデザインプロセスを進められる、ビジュアルシンキングを活かしたファシリテーション
- 社会実装にスムーズに移行するために戦術レベルまでの検討を可能とする新たなデザインツールを開発