行動変容デザインの決定版

本書は行動を変えるプロダクトをつくるための本です。
心理学、行動経済学、社会科学を活用しながら、行動を変えるということを理解し、変えたい行動について探索し、プロダクトをデザインし、改善する方法を示します。
行動変容は、習慣を変え、背中を押し、個々人の思いを叶えます。
個人の行動変容は、流行を生み出し、社会のうねりになります。
イノベーション、感染症、生活習慣病、幸福、生産性、創造性、まちづくり。現代のわたしたちが関心を持つ様々な事柄に、行動変容デザインは顔を見せます。
世界を変えるその一歩を、プロダクトが実現する。そのためのデザインをご紹介します。

キー・コンセプト:CREATEアクションファネル

「行動を促すプロダクトの仕事は、どうにかして考えるきっかけとなるキューをつくり、否定的な直感の反応を避けて、行動する価値について意識的に納得してもらい、今行動するべきだと確信して行動してもらうことだ。」
(本書より引用 )

本書で紹介するCREATEアクションファネルは、行動をとるための前提条件をファネルというかたちで概念化したものです。わたしたちが行動をとるためには、キュー(きっかけ)・反応・評価・アビリティ・タイミングすべての条件を満たせるようなデザインが必要です。さもなくばユーザーは、行動をやめるか離脱します。本書では、デザインがどのようにこれらの前提条件を整えるのかについて丁寧に説明しています。

対象読者

  • プロダクト内の行動を変えたいプロダクトマネジャーやデザイナー、エンジニア
  • 実世界の行動変容を起こしたい専門家(医師・金融プランナーなど)や実務家、起業家
  • 当事者に寄り添い、行動変容を実現したいすべての人

監訳者からのメッセージ

理想の行動と実際の行動には、しばしばズレが生じます。本書は、そのズレをもたらす障壁の存在を理解して、それを乗り越える製品やサービスを生み出す手続きを、ステップを追って導いてくれます。また、変えたい行動の先にどんなゴールがあるのか。そのゴールの達成のために、誰のどんな行動を変えるのが適切なのか。そのような問いを開発者にぶつけて、人間の行動の奥深さや複雑さへの興味と関心を引き出すのも、本書の重要な役割です。主な対象はデジタル製品やオンラインのサービス開発ですが、幅広い対象への応用が期待できます。(武山政直)

著者紹介

Stephen Wendel
スティーブン・ウェンデル

著者のスティーブン・ウェンデル博士は、効果的にお金を管理するためのデジタルプロダクトを研究する行動社会科学者です。現在は、モーニングスター社の行動科学者のトップを務め、行動科学者と実務家からなるチームを率いて、貯蓄と投資行動に関する研究を行っています。
彼には応用行動科学についての著作(Designing for Behavior Change [2013年11月刊行。本書]、Improving Employee Benefits [2014年9月刊行]、そして、Spiritual Design [2019年10月刊行])が3冊あります。
彼は非営利活動団体 Action Design Networkを設立し、行動科学のプロダクト開発への応用を普及するべく、12都市で毎月イベントを開催しています。
彼には2人のこどもがいますが、彼らは行動科学には全く興味関心を示してくれません。

目次

  • BJ・フォッグによるまえがき
  • はじめに
  • 第Ⅰ部 心の働きと行動変容を理解する
  • 第Ⅱ部 適切な成果、行動、アクターを見つけ出す
  • 第Ⅲ部 コンセプトデザインをつくる
  • 第Ⅳ部 インターフェースをデザインし、実装する
  • 第Ⅴ部 プロダクトを改善する
  • 第Ⅵ部 実践に投入する

『行動を変えるデザイン- 心理学と行動経済学をプロダクトデザインに活用する』

Stephen Wendel(スティーブン・ウェンデル)著/武山政直 監訳/相島雅樹・反中望・松村草也 訳
発行所:株式会社オライリー・ジャパン
発売日:2020.6.11
定価:3,400円(本体価格)
ISBNコード:978-4-87311-914-4
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