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Open Living Lab Days の2日目の後半は、3つのプログラムの中からNetworking Sprintと呼ばれる3時間で3つのセッションを実践するプログラムに参加しました。 01. リビングラボのピッチとスピードデーティング プログラムの始めは、様々なリビングラボが3〜5分程で理念や活動を紹介するピッチが行われました。トップバッターはフランスのuCIL Living Lab と呼ばれる神経学と精神医学の領域に特化したヘルスケア系のリビングラボで、現在10のプロジェクトを進行しながら100人以上のユーザーを巻き込み、実践している非常に興味深いリビングラボでした。次に、スウェーデンのLinnaeus 大学の運営するSmåland Living Lab は、メインカラーである黄色のドレスアップで会場を沸かせていました。このラボでは、まず第一に参加者のモチベーションが参加基準になっており、素早い共働を促進させることでプロジェクトを押し上げ、サステイナブルな関係性をつくることを思想としているそうです。モチベーションが重要な参加基準となっているというだけ、メンバーのスキルやプロジェクトに対しての意識が高くないと成り立たなそうな仕組みでしたが、その分リビングラボの思想を実現しようと高い理想を以って運営している姿勢は大変勉強になりました。そして、ギリシャのテサロニキにあるTHESS AHALL Living Lab では、テクノロジーなどを使い、シニアとの共創オープンイノベーションを目指していました。この他にも、開催地モントリオールのリビングラボやスキンケアの研究をしているリビングラボなど、さまざまなラボからピッチがありました。 ギリシャのTHESS AHALL Living Labのピッチの様子 ピッチの後はスピードデーティングの時間が設けられ、5分区切りで参加者の誰かとペアになり、自己紹介をしながらお互いの興味分野について話すセッションがありました。実は、このセッションの前に5つのテーマの中から興味のある3つを選んで洋服などの見える場所に貼るという案内があったので、そこに共通点を見出したりしながら話すという仕掛けがありました。5つのテーマは、Urban & Smart City Living Labs・Regional/Territorial Living Labs・Living Lab services for SMEs・Research on Living Labs・Health Living Labsとあり、私はUrban & Smart City Living Labs(都会のスマートシティにおけるリビングラボ)"Living Lab services for SMEs"(スタートアップカンパニーのためのリビングラボサービス)"Research on Living Labs"(リビングラボのリサーチと未来)の3つでした。このセッション、合図があるとすぐに次のペアを見つけて話さなくてはいけなかったので、かなりクイックな会話の中でポイントを絞って話すのは大変でした。しかしここでのセッションが、こんなにたくさんの種類のリビングラボが世界中にあるんだ!と実感したとても濃い時間でした。(本当に少ししか話せなかったので、ここで話が合う人たちとは取り急ぎ名刺交換をして、また後で話そう〜、という感じでした。) 02.ツールやメソドロジーに関するピッチ 2つ目のセッションは、さらに2つのトピックに分かれており、私はツールやメソドロジーを紹介するグループに参加しました。 まず最初は、かなりプラクティカルなツールの紹介です。イギリス・ブリストルにあるKWMCはTips & Tricks for Living Labというトレーニングやワークショップなどに使うカードセットを紹介していました。カードには色々な言葉がイラストと共に書いてあり、ワークショップなどのアイデアトリガーや評価など、様々な使い方ができそうです。まだ開発段階のようですが、限定でテスト販売していたのでACTANTでも2種類購入してみました!これから試してみるのが楽しみです。 KWMCが発表したTips & Tricks for Living Lab 次に、バルセロナのLibrary Living Lab のピッチでは、デジタルツールを使って子供たちが色々なストーリーを作るワークショップの仕組みや方法などを紹介しました。また、メンバーのネットワークなども面白く個人的にはとても興味を惹かれる分野でした。 他にも、フランスからファブラボとリビングラボの機能を併せ持ったFab Living Labというラボの紹介やイスタンブールにあるBASAKSEHIR Living Labというインキュベーションセンターが運営しているリビングラボが開発したネットワーキングをするためのツール(カードなど)が紹介されました。 ツールやメソッドを発表しているプレゼンターの様子 03. テーマディスカッションとリビングラボネットワーキングのためのピッチ 最後のLiving Labyrinthというセッションでは、先に挙げた、スピードデーティングの時の5つのテーマの中からさらに1つ興味のある分野を選び、テーブルごとに分かれ、そのテーマに関するグループディスカッションが行われました。私はResearch on Living Labsのグループに参加しました。そこでは、現状リビングラボでリサーチがどのように行われているのか、リサーチ結果をどのように活用しているか、などについて意見を共有し、今後の発展可能性などについてディスカッションをしました。 Living Labyrinthを行っている様子 セッションの最後には、Network of Networksと題された最後のピッチセッションが行われました。ここでは、イギリス・コベントリー、オーストラリア・シドニー、オランダ・アムステルダム、アメリカ・テキサスなどから様々なトピックのリビングラボが参加し、自分たちのプロジェクトを紹介しながら、必要なスキルや人材、ネットワークなどをプロモーションする場として設けられていました。例えば、「こんな組織やリビングラボと提携したい」や、「今後こういう展開を考えているから興味があるラボは一緒にやりませんか?」などといった感じで、まさにリビングラボ同士のネットワーキングセッションとなっていました。 3つのセッションを終え、日本からインターネットで調べていたリビングラボの情報量を優に超えていました。まさに百聞は一見に如かず。実践している人たちと直接話す重要さを感じながら、次にカンファレンスに参加する時にはACTANTもピッチに出られたら良いなぁと思いながら聞いておりました。 このように内容盛りだくさんのNetworking Sprintのプログラムが終わり、最後のクロージングとして、同時刻に他のプログラムで行われていたワークショップの成果発表をしてカンファレンス2日目が終わりました。 カンファレンスの様子がこちらのビデオにまとめられていますので、今までのブログと合わせて見ていただくと、会場の雰囲気が伝わるかもしれません。 https://youtu.be/sx3RGhLmH2I 次回のブログでは、3&4日目に実施されたワークショップについてご紹介します。(木村恵美理)    ...

2日目からが公式なカンファレンススタートということで、ENoLLの代表 Dr.Tuija氏をはじめ、カンファレンスの主宰代表者たちからスピーチが行われました。そこで、リビングラボの起源やその広がり、10周年を迎えるENoLLの仕組み、そしてカンファレンス自体も共創していこうというマインドなどについて話されました。2日目は、前半にPanel and Presentation、後半にNetworking Sprintというプログラム構成になっており、本ブログでは、 2日目前半の体験についてレポートします。 前半のパネルディスカッションでは、2つのトピックとパネルグループに分かれて行われました。 1つ目のトピック:リビングラボの現状と今後の方向性と将来への展望 まず最初のトピックでは、実践を行うリビングラボの現状と今後の方向性と将来への展望について議論されました。登壇者は、オランダ・アイントホーフェン市のプロジェクトマネージャーIrmo氏、PercolabのリサーチャーであるSamantha氏、リビングラボユーザーという立場からデザイナーのSteeven氏、そしてiMindsのディレクターであるDr.Pieter氏の4名が参加しました。上記のメンバーにモデレータから、”様々なステークホルダーに提供できる価値をどのように生み出すのか”、”ユーザーが中心となったイノベーションプロジェクトにはどのようなスキルが必要とされるのか”、また”将来リビングラボ間のコラボレーションが起こると一体どんなことが起きるのか”などの問いが投げかけられ、興味深い議論がなされました。 議論の一部をご紹介すると、リビングラボの理念の一つである"様々なステークホルダーにとっての価値を生み出す"という問いに対しては、リビングラボの主宰が誰であるかというところで大きく変わってくるだろうという議論がなされました。例えば、アイントホーフェン市のスマートシティ計画の一環であるThe future of light projectでは、都市にとっての価値はお金ではなく人々の生活の質や幸福度(quality of life)が価値であるということを前提としているが、予算の問題などからローカルビジネスとの協業がシティーイノベーションには必要不可欠になってくるという経験談が共有されました。また他にも、ユートピア的なビジョンとプログラマティックなソリューションは天秤にあることから、ステークホルダーを喚起させるためのマインドセット育成のためのリビングラボが有効になってくるだろう、という意見も聞くことができました。 最後にモデレータから聴講者にいくつか質問が投げかけられ、聴講者はYESかNOをカードで答えるというコミュニケーションもありました。「あなたの都市では都市自体がリビングラボといえますか?」という問いかけには、会場のほとんどがNOを掲げていましたが、「10年後には都市自体がリビングラボになっているでしょうか?」という問いかけには、全体の半数が、"Hopefully…"と言いながらYESを掲げていたことは、とても印象的でした。 聴講者がモデレータの問いかけに回答している会場の様子 2つ目のトピック:Art HiveとFab Labの未来 後半のパネルディスカッションでは、Art Hiveと今や世界中に広まったFab Labの思想をこの先どう展開していくかというトピックについて、モントリオールで実践されている「自分たちで作る(D.I.Y)」がベースとなったCOMMUNAUtiqueと呼ばれるコミュニティの取り組みについて語られました。 COMMUNAUtiqueは、デジタルファブリケーションを中心としながらリサーチや教育機能を持ったオープンイノベーションの場として活用されています。日曜日に無料で材料が提供され、市民がものづくりの場に参加できるイベントなど多様なレベル感の活動が実践されています。またここにあるリビングラボ的機能を持ったコミュニティベースであるfablabには、Basic Inclusion(基礎的な包含)、Mechanical Inclusion (機器の包含)、Crossing Over(交じり合わせる)という3つの頭文字を取りBMXという理念があることが紹介されました。 COMMUNAUtiqueについてのプレゼンの様子 上記トピックのディスカッション以外にも、他モントリオールの団体たちによる活動の紹介やワールドバンクでの取り組みなどのプレゼンテーションがあり、時間がぎゅっと詰まった午前のプログラムが終了しました。(本当に盛りだくさんで書ききれません…!) 本ブログは、ここまで。次回の第3回では、 2日目の後半で行われたNetworking Sprintプログラムの体験をレポートします。(木村恵美理)...

昨年の8月23-26日の4日間にわたってカナダのモントリオールにあるConcordia Universityにて開催されたOpenLivingLab Days2016に参加してきました!本カンファレンスは、欧州を中心としたリビングラボが所属する European Network of Living Lab(通称ENoLL)が主催しており、2016年度が7回目の開催でした。初のヨーロッパ外での開催ということもあり、近年のリビングラボの拡大と理念の浸透を感じました。ENoLLの幹事であり今回のカンファレンスの委員会議長のPieter Ballon氏のスピーチの中にあった"This conference as a living lab"という言葉を反映し、世界中から参加している人々みんなで作り上げているカンファレンスだったのがとても印象的でした。本ブログでは、世界中で起きているリビングラボの雰囲気がわかるように、様々なリビングラボやそのアプローチをご紹介したいと思います。 リビングラボってなに? 簡単に説明すると、リビングラボとは「オープンイノベーションのエコシステムの1つであり、関連する様々なステークホルダーと実際のユーザーが共創しながらサービスやプロダクトを作り出す仕組み」です。このアプローチの強みとしては、プロジェクトをオープンにすることで実際のユーザーと共創すること、素早いプロトタイピング、現実に近いコンテクストでの実験、などが挙げられます。それぞれのリビングラボによって形態・仕組み・手法などが異なることが本カンファレンスに参加しての気づきでした。 今回の開催地であるモントリオール モントリオールは、カナダのオンタリオ州のトロントに次ぐ第二の都市として広く知られています。(日本ではモントリオール映画祭などで有名ですね!)標識やアナウンスなどを含め公用語はフランス語ですが、多くの人が英語も話せるバイリンガル都市です。環境も、エリアによって景色ががらっと変わるのがとても面白く、住みやすそうな都市だなぁというのが印象でした。また、小さい路面店というよりはショッピングモールが多く、大きい建物の中で一度に買い物をすませるような生活スタイルが見受けられました。(冬はとても雪深いらしいカナダならではですね。)街を少し歩いただけでも感じられるこのダイバーシティ感は、欧州以外での初のリビングラボ開催地として納得でした。 Open Living Lab Days 2016のプログラム 4日間開催された本カンファレンスにおける1日目のLivinglab Research dayでは、研究論文発表とオープンリビングラボJAM、 2日目のConference, Pitching and Networking dayでは、パネルディスカッションとプレゼンテーション、3、4日目は、各リビングラボが実践する手法を体験できるワークショップが開催されました。論文を発表するだけのカンファレンスではなく、参加者同士でのディスカッションやワークショップの実践が組み込まれ、参加者も一緒にその場を作り上げていく楽しい、そして、知的な刺激がたくさん詰まったカンファレンスとなっていました。 論文の4つのテーマ 本カンファレンスでは、ENoLLより14本の論文が選出され、4つのテーマ「Urban LLs & PSI」「Ageing & Health」「New communities & applications(b-to-b, public sector,..)」「Methods and linkages with established frameworks (agile dev, action research, ..)」としてまとめられました。本会議開催中には、聴講者の投票により最も優れた論文を選出するVeli-Pekka Niitamo Prizeという取り組みもなされ、2016年は、これからご紹介するiMinds Living Labsの"Towards FALL: a Framework for Agile Living Lab projects"が選ばれました。それでは、本論文と私が面白い!と感じたFuture Self and Design Living Labの2本の論文をご紹介します。 iMinds Living Labs まず初めに、Veli-Pekka Niitamo Prizeに輝いた、ベルギーにあるイノベーションハブiMindsのTanguy氏の論文についてご紹介します。同氏は、まずアジャイルメソッドを取り上げ、素早いプロトタイピングや評価、そしてプロジェクトの動き自体の調整がスムーズであるという利点がある一方、実際のエンドユーザーの視点が十分に足りていないという点を言及しています。そして、この方法論をリビングラボに取り入れることで今までのリビングラボで補えていなかった部分を補完しあうという仕組みとしてFramework for Agile Living Lab projects (FALL) という、今回のフレームワークを発表しています。 このフレームワークは、大きく3つのフェーズに分けられています。 フェーズ#01_Problem Formulation:現状のプロジェクトにおけるテーマに対する知識やリサーチ結果を用いて、チームの中で簡単な仮説を立て、そこからでた最初のアイデアをMVP (Minimum Viable Products)として実行可能な範囲で最小限のテストを行います。 フェーズ#02_BIEL (Build - Intervene - Evaluate - Learn):フェーズ#01でテストしたMVPをテスト→フィードバック取得→評価→学び→次のアイデアの組み立て、と何度も繰り返し、MVP 0をMVP1.2.3…とどんどん回していきます。 フェーズ#03_Formalization of Learning:フェーズ#02で得た知見やリサーチのデータを最後の本フェーズで集約し、元々のテーマに文脈をまとめ合わせます。本フェーズで出てきた成果物はリビングラボの主宰の組織によって変わりますが、例えばビジネスならば、サービスの根本的なコンセプトのマーケットイントロダクションに有効的なインサイトとしても使われることができます。 こうして集約された成果物は、プロジェクトの資源としてこのフレームワーク内をさらに循環し、雪だるまを転がしてどんどん大きくするようにアイデアを育てていくことも可能です。リビングラボプロジェクトでは、資金の問題やステークホルダーの多さからプロジェクトの進行スピードが問題に上がることもあります。そう言った点でも、まず現状から仮説を立て、進めながらどんどん発展させていくというこの方法は可能性を感じました。 Future Self and Design Living Lab 次に、オーストラリアのSwinburne工科大学が運営するFuture Self and Design Living Labの論文"Methods for Supporting Older Users...

私たちやクラアントと共に様々なデザイン領域を横断しながら新しい価値をデザインする仲間を募集します。 ACTANTでは、サービスデザインという考え方を軸に、エスノグラフィやワークショップからはじまり、サービスアイデアの形成、グラフィックデザインによる視覚化等を通して、各タッチポイントの具体的な実現までおこなっています。そして、ブランド構築やウェブサイトの設計、空間のプランニングなど多岐にわたるアウトプットをつくりだします。ACTANTは、これらのプロセスを一貫して取りまとめ、クライアントや生活者との共創価値を高めていきます。今回は、これらの業務に好奇心を持って取り組むことのできる柔軟なデザイナーを募集します。 詳細な情報と応募はwantedlyから。 ...

謹んで新春のご挨拶を申し上げます。 昨年は、新しいメンバー/パートナーも増え、ACTANTは新たな一歩を踏み出すことができました。オフィスも神宮前に移転し、環境を新たにすることもできました。お世話になりました多くの皆様に感謝いたします。 本年も、ACTANTらしさを忘れずに、皆様と共に社会への新しい価値と知的好奇心を刺激する機会を生み出していけますよう努力して参ります。私たち自身、多くの方とのコラボレーションを楽しみにしています。 本年もACTANTをどうぞよろしくお願い申し上げます。 ACTANT一同...